
小型ハッチバックモデルの中に、ホンダフィットとトヨタヤリスがあります。日本の道路事情・車両価格などを考慮すると、非常にユーザー数の多いモデル達ですね。個人ユーザーだけでなく、レンタカーや商用車にも使用されています。この2モデルって、実際のところどっちのモデルを買うのが良いのでしょうか?
ここでは、エクステリアや内装、車内空間、ラゲッジスペース、パワートレインや車両価格などを徹底的に比較検証してみます。
ホンダ フィットはどんなクルマ、エクステリアは?

引用:https://www.honda.co.jp/Fit/webcatalog/styling/design/
現行型フィットは、2020年2月に販売開始になりました。先代モデルまでのシャープでソリッド感の強いエクステリアデザインから、フリード・ステップワゴンのような柔らかく親しみやすい雰囲気に大きく舵が振られたモデルです。
現在販売されている他メーカーのエクステリアディテールが、比較的シャープな雰囲気の多いモデルの中では、斬新なエクステリアアイディアであるともいえます。
ホンダが目指したフィットのエクステリアデザインは、シンプルかつ親しみやすさです。同社は、このモデルを世界戦略モデルとして販売展開しています。
フィットは、シンプルなデザインとしながらも、BASIC・HOME・NESS・CROSSTAR・LUXEと5つの違ったグレードの中からチョイスできるのが魅力的でもあります。
エクステリアは、シンプルですが「カワイイ」という表現が似合うデザインですね!
全長×全幅×全高=3,995×1,695×1,515~4,090×1,725×1,545㎜です。CROSSTARが、デザイン装備などで3ナンバーモデルとなっています。
筆者ワンポイントアドバイス
可愛くシンプルなディテールのエクステリアですが、BASICガソリンモデル以外はフルLEDヘッドライト(デイタイムランニングランプ付)が標準装備になっています。
そしてBASICガソリンモデルもメーカーオプションでLEDを装備することが可能になっている点が特長です。走行に重要な機能は、しっかりチョイスできるように仕上げています。
トヨタ ヤリスはどんなクルマ、エクステリアは?

引用:https://toyota.jp/yaris/gallery/?padid=from_yaris_top_navi-menu_gallery
ヤリスは、フィットと同じく2020年2月にヴィッツの後継モデルとして販売開始になっています。じつは、ヴィッツは日本販売名で諸外国では、ヤリスという名称でずっと販売されていますので、モデル名を統一したといえます。
トヨタの基幹コンパクトモデルです。先代型の軽快なハンドリングを継承しながら、よりトヨタらしいデザインに昇華し、さらに上質な乗り心地と安全性能を高めて登場しています。
フロントビューは、先代ヴィッツを継承しながらトヨタのデザインコンセプトであるキーンルックを、より強調するデザインです。
ヤリスは、歴代レース参戦(特にラリー)をしているモデルです。走りを意識したユーザーにはたまらない一台でもあります。小型モデルの中では、走りに特化できる車ともいえます。
全長×全幅×全高=3,940×1,695×1,500~3,940×1,695×1,515㎜です。50㎜ほどフィットの方が長くなっています。
筆者ワンポイントアドバイス
ヤリスの場合は、ハイブリッドXとガソリンX及びX-Bパッケージでは、ハロゲンヘッドランプしかチョイスできないのが寂しいですね。
特にBパッケージやXグレードは、ビジネスユースなどにも使用されます。夜ヘッドライトが暗いのは辛いのではないでしょうか。
筆者の個人的なヤリスエクステリアの感想は、トヨタらしくスッキリまとまった仕上がりと考えます。一方で、小さい版カローラスポーツというように、何かの「小さい版」という印象も出てしまうかもしれませんね。
ホンダ フィットの内装や車内空間

引用:https://www.honda.co.jp/Fit/webcatalog/interior/cabin/
フィットの内装は、水平基調としシンプルに使いこなせるよう仕上げている点がポイントです。フロントピラーを従来の半分以下の厚さに仕上げ、視界を広く確保するだけでなく開放感をアップさせています。
シートには、ボディースタビライジングシートがホンダ初採用され、骨格をフィットさせることで落ち着いた着座になっています。さらに車内を5つのグレードコンセプトで表現しています。
https://twitter.com/Taketiyo0/status/1229011112059781124筆者体験レポート
筆者は、仕事柄レンタカーに乗る機会が多いです。いろいろなメーカーの小型車をレンタルして仕事をしました。例えば、現行ノートや今回比較しているヤリスもレンタルしました。
現行型フィットは、明らかに広いです。これは、他社にはないセンタータンクレイアウトのおかげではないでしょうか?また視界も広いなと実感しました。そしてゆったりとした空間やシート感覚は、運転も楽であることを実感できます。
室内長×室内幅×室内高=1,955×1,445×1,260㎜です。車全体の大きさは、50㎜ヤリスより長いだけですが、室内空間は、長さで110㎜、幅で15㎜、高さで70㎜大きいです。
トヨタ ヤリスの内装や車内空間は?
引用:https://toyota.jp/yaris/grade/?padid=from_yaris_gallery_navi-menu_grade
車内空間は、無駄をなくすことで空間を広くとりながらシンプルに構成されています。楽に乗降できるようにトヨタ初のターンチルトシートも採用されています。
またフィットより勝っているかなと思うのは、スマートフォン連携可能な「ディスプレイオーディオ」が全車標準装備になっている点です。ホンダでは、BASICでオプション装備です。
https://twitter.com/say_yeah_0214/status/1355431216070053889筆者の体験レポート
ヤリスをレンタカーで走行したことがあるのですが、フロント回りはフィットと同じような空間形成になっていると思います。特に甲乙はつけづらい印象です。
一方リアに関していうと、筆者は身長180㎝強なのですが、ヤリスは、天井・足元などに狭さを感じました。室内長×室内幅×室内高=1,845×1,430×1,190㎜の室内空間の差が出ていると感じました。
ホンダ フィットのラゲッジスペースは?
引用:https://www.honda.co.jp/Fit/webcatalog/interior/utility/
今までのフィットモデルすべてに言えるのですが、コンパクトハッチモデルなのにラゲッジスペースが以外と広いと感じる点です。
現行型フィットでは、なるべく容積部分を立方体に作りこむことで、荷物をスッキリ収納できるよう工夫されたディテールです。そして使いやすさを考慮して、腰位の高さが一番開口部が広く設計されています。
ホンダホームページでは、あまりこのラゲッジスペースの広さを具体的な数字で解りやすく表示されていないです。ショールームで体験してみるとよいのではないでしょうか。
ヤリスよりも70㎜室内高が高いという点が、荷物の出し入れをしやすくしていると考えます。
車内の収納スペースなどは?

引用:https://www.honda.co.jp/Fit/webcatalog/interior/utility/
ワイヤレス充電器は、LUXEグレードで標準装備となっています。他グレードは、純正オプションパーツ(30,500円)でチョイス可能になっています。ワイヤレスまではいらないという方は、USBチャージャー6,600円(フロント・リア別)もあります。
今の時代、スマホだけでなく色々な物がUSB充電となっています。標準装備されていないグレードをご購入の際はオプションで装備した方が良いかもしれません。
フィットの場合は、使いやすい所に使いやすい配置・装備の収納が沢山用意されています。グレード別装備であっても、オプションでチョイスできる装備も豊富に設定されています。
トヨタ ヤリスのラゲッジスペースは?

引用:https://toyota.jp/pages/contents/request/webcatalog/yaris/yaris_main_202105.pdf
ヤリスのラゲッジスペースで最大の特長は、2段式の高さ調整があるという点です。アジャスタブルデッキボードと呼ばれ、取り外しすることで高さの調整が可能になっています。117㎜高さにゆとりが出ます。
家族でショッピングなどに出かけた時に高さの調整ができるという利点がありますね。一方で、毎回高さを調整しないとならない場合も出てきます。ユーザーの想いによって、良い装備になるかそうでないかという事でしょう。
「最初から調節しなくても、ゆとりがある方が楽でしょう」という人も居るかと思います。または、調整して使うことがない方などもいるかもしれません。調節しない人は、普段使わないものを収納できる場所となるでしょう。
車内の収納スペースなどは?

引用:https://toyota.jp/pages/contents/request/webcatalog/yaris/yaris_main_202105.pdf
ヤリスにも多くの収納が用意されています。フィットとヤリスで大きな違いがあるという感じではなく、収納ポイントに少し違いがあるという印象です。
フィットではテーブルコンソールがあり、ヤリスでは助手席アンダートレイがあるといった目的別の収納に違いがあります。
どこに設置されている方が使いやすいという場所や収納量などは、ユーザーの嗜好範囲でもあります。両車を実際に見比べるのが良いでしょう。
ホンダ フィットのパワートレインなどは?

引用:https://www.honda.co.jp/tech/auto/powertrains/ehev.html
フィットのエンジンユニットは、2種類用意されています。
- ガソリンモデル:1.3L水冷直列4気筒DOHC16バルブエンジン・最高出力98ps
- e:HEVモデル:1.5L水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター・最高出力98ps+モーター出力最大109ps
先進予防安全装備は、全グレードにHonda SENSINGが採用されています。サポカーSワイドに認定されています。またエアバックは、フロント助手席だけでなく、サイドエアバックも全車標準装備です。
トヨタ ヤリスのパワートレインなどは?

引用:https://toyota.jp/pages/contents/request/webcatalog/yaris/yaris_main_202105.pdf
トヨタヤリスのエンジンユニットは、3種類用意されています。
- ガソリンエンジンモデル:1.0L直列3気筒エンジン・最高出力69ps
- ガソリンエンジンモデル:1.5L直列3気筒エンジン・最高出力120ps
- ハイブリッドモデル:1.5L直列3気筒エンジン+モーター最高出力91ps+モーター最大出力80ps
先進安全予防システムは、X-Bパッケージ以外は標準装備になっています。X-Bパッケージは、ビジネスユースなども考慮され廉価装備に仕上げてコストを敢えて下げています。致し方ない部分やもしれませんね。
安全装備は、サポカーSワイドとサポカーオ及び未認定の3グレード展開になっています。
筆者のワンポイントアドバイス
フィットには、1.0Lエンジンモデルがありません。またフィットは4気筒エンジンなのに対して、ヤリスは3気筒エンジンである点が特長です。
燃費比較をすると、ヤリス ハイブリッドXがWLTCモード燃費 36km/Lで、フィットe:HEV BASICがWLTCモード燃費 29.4km/Lです。数字比較では、ハイブリッドのトヨタが強いといえます。
ホンダ フィットの車両価格など
HOME20周年特別仕様車 カーサ | FF | 1,917,300円 |
HOME20周年特別仕様車 メゾン | FF | 1,917,300円 |
CROSSTAR | FF | 1,938,200円 |
HOME | フルタイム4WD | 1,965,700円 |
NESS | フルタイム4WD | 2,075,700円 |
LUXE | FF | 2,076,800円 |
HOME20周年特別仕様車 カーサ | フルタイム4WD | 2,115,300円 |
HOME20周年特別仕様車 メゾン | フルタイム4WD | 2,115,300円 |
CROSSTAR | フルタイム4WD | 2,136,200円 |
LUXE | フルタイム4WD | 2,241,800円 |
e:HEVBASIC | FF | 1,997,600円 |
e:HEVHOME | FF | 2,117,500円 |
e:HEVBASIC | フルタイム4WD | 2,195,600円 |
e:HEVNESS | FF | 2,227,500円 |
e:HEVHOME20周年特別仕様車 カーサ | FF | 2,267,100円 |
e:HEV HOME20周年特別仕様車 メゾン | FF | 2,267,100円 |
e:HEVCROSSTAR | FF | 2,288,000円 |
e:HEVHOME | フルタイム4WD | 2,315,500円 |
e:HEVNESS | フルタイム4WD | 2,425,500円 |
e:HEVLUXE | FF | 2,426,600円 |
e:HEVHOME 20周年特別仕様車 カーサ | フルタイム4WD | 2,465,100円 |
e:HEV HOME20周年特別仕様車 メゾン | フルタイム4WD | 2,465,100円 |
e:HEVCROSSTAR | フルタイム4WD | 2,486,000円 |
e:HEVLUXE | フルタイム4WD | 2,591,600円 |
e:HEVモデューロX | FF | 2,866,600円 |
トヨタ ヤリス(ヤリスクロス)の価格表など
駆動方式 | ヤリス価格 | ヤリスクロス価格 | |
X-Bパッケージ | FF | 1,395,000円 | 1,798,000円・(4WD)2,029,000円 |
X | FF | 1,455,000円 | 1,896,000円 |
G | FF | 1,630,000円 | 2,020,000円 |
X | FF(6MT) | 1,543,000円 | |
X | FF | 1,598,000円 | |
G | FF(6MT) | 1,718,000円 | |
G | FF | 1,773,000円 | |
X | フルタイム4WD | 1,831,000円 | 2,127,000円 |
Z | FF(6MT) | 1,888,000円 | |
Z | FF | 1,971,000円 | 2,210,000円 |
G | フルタイム4WD | 1,971,000円 | 2,251,000円 |
ハイブリッドX | FF | 1,998,000円 | 2,284,000円 |
ハイブリッドG | FF | 2,130,000円 | 2,394,000円 |
Z | フルタイム4WD | 2,169,000円 | 2,441,000円 |
ハイブリッドX | フルタイム4WD | 2,241,000円 | 2,515,000円 |
ハイブリッドZ | FF | 2,324,000円 | 2,584,000円 |
ハイブリッドG | フルタイム4WD | 2,338,000円 | 2,625,000円 |
ハイブリッドZ | フルタイム4WD | 2,522,000円 | 2,815,000円 |
それぞれの車両価格を見てみると、ヤリスは走りを意識したモデルだけあって、6MTの設定があります。この辺りは、ユーザーの嗜好性にトヨタが合わせていると考えます。
トヨタ最高グレードのハイブリッドZ(4WD)が2,552,000円で、フィット最高グレードe:HEV LUXE(4WD)で2,591,600円です。全体的に販売価格は、同グレード体系で合わせると若干フィットが高くなっています。
その中では、SUVテイストをふんだんに盛り込み、最低地上高も高められたグレードです。ヤリスとの比較でなくヤリスクロスと比較するのが良いでしょう。
ヤリスクロスのグレード体系で比較した場合には、CROSSTARの方がお求め安くなっているといえます。
ホンダ フィットVSトヨタ ヤリスまとめ
では、実際にフィットとヤリスってどっちが買いなのでしょうか?今までの記事やSNS、筆者の独自見解も踏まえて、8項目、5点満点で総合評価(満点40点)をしてみます。
フィット | ヤリス | |
①エクステリア部門 | 4 | 4 |
②内装部門 | 5 | 4 |
③室内空間 | 5 | 3 |
④ラゲッジスペース部門 | 4 | 4 |
⑤収納部門 | 4 | 4 |
⑥エンジンユニット部門 | 4 | 5 |
⑦安全装備部門 | 5 | 4 |
⑧価格部門 | 4 | 5 |
40点満点中 | 35 | 33 |
2モデルを各項目ごとに評価してみました。
- エクステリア部門:フィット、ヤリス共に新型なので新しいデザインが採用されているので両車4点としました。デザインの好き嫌いは、ユーザー嗜好によるところが多いので、評点に加味していません。
- 内装部門:どちらも完成度は高いが、ユーザーの心地よさをより多く達成できているのが、フィットという結論です。
- 室内空間部門:こちらは、リアの空間がかなりフィットが優位になっているという結論です。また車内空間寸法的にも大きな差がありました。
- ラゲッジスペース部門:そもそも両車はコンパクトハッチなので、ラゲッジ自体は大きくないです。その中でより使いやすく、大きくしているのは、フィットという結論です。
- 収納部門:どちらもコンパクトハッチモデルの中では収納が豊富であるため、同点4点です。
- エンジンユニット部門:こちらは、いろいろなユーザー嗜好に合わせて3種類のエンジンを用意しているヤリスが満点5点という結果です。
- 安全装備部門:全車標準でHonda SENSINGが採用されているフィットが5点という結果です。ヤリスは、廉価グレードではトヨタセーフティセンスが標準で装備されていません。
- 価格部門:ヤリスが全体的なグレード体系で若干安いため優位な結果になっています。
結果、僅差でホンダ フィットが買いでしょう!となりました。
評価には組み入れていませんが、フィットは、BASIC・HOME・NESS・CROSSTAR・LUXEという5つの嗜好性を持ったグレード展開が魅力的です。
また同排気量でも、4気筒エンジンを採用していることから、3気筒エンジンのヤリスの比べてバランス性に優れ、ヤリスなどよりもスムーズに走行できると考えます。
まとめ
比較検証!フィットとヤリスをいろいろ比較してみる、買うならどっち?をまとめると
- フィットもヤリスも小型モデルとして、両メーカーの世界戦略モデルです。良いところがそれぞれにあります。
- 車内空間などは、やはりフィットが優勢です。その代わり一回り小さくコンパクトに仕上げているヤリスが価格が抑えられています。
甲乙つけがたい部分もありますが、現時点では「フィットが買い」という結果になりました。皆さんの新車購入の目安の一つになればと思います。

1974年生まれの40代です。埼玉県出身、北海道在住です。埼玉ということもあり父がホンダ車(ライフ、アコードなど)を所有していたことから、幼いころから車に触ってる光景を見ながら育ったことで、車への関心が自然に身に付きました。
私自身は、約25年の車人生にておおよそ20台乗り継ぎながら、周囲の力添えもあり車のことを勉強し続けられてます。エンジン内部の修理以外は、40代後半の現在でも全部自分で整備・修理を行っています。
510ブルーバード・S30Zなどでは、シンプルな作りであったことから車の基礎が勉強できました。今までの整備経験や未来の車社会、整備や修理についてなどを、少しでも皆様にお伝えできればと執筆活動中です。
※車両所有歴
カルタス、MR-2(AW11)、スカイライン、RX-7(SA22C)、510ブルーバード、S30Z、ローレル、カリーナ、アクティストリート、インテグラ、セルボモード、ワゴンR、シボレークルーズ、プリウス、アルテッツァ、セドリック、エルグランドディーゼル、エスクードなど。