
現代の車は、いろいろなディテールが設計されていますね。セダン、ハッチバック、クーペ、そしてSUV(CUV)などです。中でもSUVは、世界各国で人気が高まり各メーカーも多くのモデルをラインアップしています。
国内外のメーカーは、SUVモデルを設計販売しないとならない時代にもなりました。その証拠にスポーツカーを製造しているランボルギーニにはウラカンというSUVが開発され、現在フェラーリでもSUVが開発最中となっています。
もちろん日本国内でもSUVモデルが、氾濫していると言っていい状況です。コンパクトSUVとなっているホンダ VEZELとトヨタ カローラクロスは、そんなSUV戦国時代の中で販売されています。
当記事では、2021年4月発売のVEZELと9月発売のカローラクロスを徹底比較してみます。
VEZELとカローラクロスのエクステリア比較
VEZELのエクステリア

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/styling/design/
VEZELのエクステリアは、美しいクーペタイプのディテールに他なりません。それは、フロントからリアに向けて流れるような流麗なフォルムにあるといえます。
フロントマスクでは、細いヘッドライトに張り出しの強いサイドラインタイプのグリルが特長的です。
また初代ホンダVEZELは、ハイブリッドモデルのSUV先駆者でもありました。初代モデルの流麗感を引き継ぎながら、全長×全幅×全高(㎜)= 4,330×1,770×1,605㎜から、全長×全幅×全高(㎜)=4,330×1,790×1,580㎜と新型では、よりワイド&ローフォルムで登場しました。
カローラクロスのエクステリア

引用:https://www.goo-net.com/catalog/TOYOTA/COROLLA_CROSS/
トヨタカローラシリーズのSUVタイプモデルとして、2021年9月に販売開始になりました。カローラ、カローラスポーツ、カローラツーリングにカローラクロスが追加されました。
先代モデルのカローラアクシオは、日本の道路事情などからラインアップに残っている状況ですので、ここでは別モデルとして扱います。
トヨタキーンルックをモチーフにしたエクステリアデザインが特長となっています。またVEZELのクーペフォルムとは違い、SUV特有のダイナミックなデザインとなっています。
カローラクロスは、全長×全幅×全高(㎜)=4,490×1,825×1,620㎜というサイズです。VEZELよりも一回り大きいといえます。
車においてエクステリアデザインは、購入意欲を左右する多きな要素です。そして人それぞれに好き嫌いもあります。サイズ感だけでいえば、カローラクロスの方が少しい大きい分乗車などのゆとりもあるといえます。ただサイズだけではなく、運転のしやすいサイズ感となれば、VEZELに優位性があると考えます。
そんな中VEZELとカローラクロスのエクステリアを比較した結果、独特なフォルムで存在感をアピールするVEZELが良いか、トヨタキーンルックを採用しカローラシリーズのフロントマスクが与えられたカローラクロスが良いかという事になるでしょう。
VEZELとカローラクロスの内装比較
VEZELの内装

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/interior/cabin/
シンプルにしながら、乗車全員の視界が広くなるように設計されることで、開放感が得られる空間作りとなっています。フロントビューでは、直線状に広がったセンターコンソールがシャープでスッキリとした印象となっています。
HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を活用した運転席では、扱いやすさを重視したスイッチやメーターなどが配置された仕様です。
実際に筆者は、両モデルを見に行きました。VEZELの方が、車内の質感や雰囲気は高いと感じました。

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/interior/cabin/
ルーフガラスを採用したことで、より開放感がある車内空間となっています。車内寸法は、全長×全幅×全高(㎜)=2.010×1.445×1.225(パノラマルーフ装備車は1.240)㎜です。
ホンダの低床プラットフォーム(センタータンクレイアウト)によって、車内空間はとても広く設計されています。ホンダが得意とする車内空間が演出できていると感じます。
カローラクロスの内装

引用:https://toyota.jp/corollacross/gallery/?padid=from_corollacross_feature_ft-design-2_detail#des-int
カジュアルに上質さをプラスした内装が、カローラクロスの特長です。トヨタは、カローラシリーズの中にカローラクロスを入れています。もちろんコスト面のことも考えての結果でしょう。
カローラクロスのエクステリアも同様ですが、内装はほかのカローラシリーズとほぼ共通となっています。このためカローラクロスとしての特長という点が薄れてしまうといえます。
参考カローラスポーツの内装

引用:https://toyota.jp/corollasport/gallery/?padid=from_corollasport_feature_ft-design-2_detail#des-int
またインテリアトリムの質感が、非常にプラスチック感が強いのもトヨタ内装の特長です。例えばですが、同じデザインとするならば、もう少し素材の上質感などを演出してからモデル全体に採用しても良いのではないかと思います。
※筆者は、営業用としてトヨタモデルを多く乗り継いでいます。一言でいうと「同じ内装の雰囲気でも〇と思いますが、統一デザインにする際にもう少しチープな感じを減らしてほしい」と思いました。

引用:https://toyota.jp/corollacross/gallery/?padid=from_corollacross_feature_ft-design-2_detail#des-int
VEZEL同様にルーフガラスが採用されています。大きなルーフガラス仕様となっていますので、開放感が増えると思います。VEZELでは、あえてフロントとリアを分けたルーフガラスにしているのが特長です。どちらがお好きかは、ユーザー嗜好にもよりますね。
車内寸法は、全長×全幅×全高(㎜)=1,800×1,505×1,260㎜となっています。車内全長以外は、カローラクロスの方が広いという印象です。カローラクロスの場合は、車内全長を短くし、元々長いエクステリア全長をラゲッジスペース拡大に充ててると考えます。
VEZELとカローラクロスの収納スペース比較
VEZELの収納

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/interior/utility/
VEZELの収納でカローラクロスと大きく違う点は、リアタイヤホイールアーチが少ないだけでなく、直線で構成されている点です。これは、予想以上に積載性がアップします。積載性だけでなく、キッチリと荷物を積み込めることもポイントです。
※これは、筆者の個人的な感想なのですが、ラゲッジ容量がWEBカタログなどで解りませんでした(見つけられませんでした)。こういった情報は、わかりやすく掲載されているのが良いのではないでしょうか。

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/interior/utility/
目の付け所が良い収納方法として、リアシートを跳ね上げることが可能な点です。またホンダのセンタータンクレイアウトが、こういった仕様を可能にしていると考えます。
便利で快適なラゲッジスページングの確保なのですが、「何センチの長さまで可能」というような表示がない点が残念な所ではないでしょうか?

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/interior/utility/
VEZELには、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートが、e:HEV ZとPLaYに装備されています。こちらは便利な機能であると考えます。ただカローラクロスでも、グレード別で標準かオプション選択きます。
カローラクロスの収納

引用:https://toyota.jp/corollacross/feature/?padid=from_corollacross_top_navi-menu_feature
トヨタでは、上記画像のように採寸が記載されています。採寸や容量の比較を各モデルで行ってから、実際に店舗に見に行き、「どうなんだろう?」と考えるユーザーが多いように感じます。
採寸表示が全てではありませんが、上記のように一枚簡潔にHPなどに見やすく表示されていると便利ですね。
筆者的には、やはりホイールアーチ部分が大きく張り出しているカローラクロスは、積載のし易さなどで少しVEZELに及ばないとも考えます。

引用:https://toyota.jp/corollacross/feature/?padid=from_corollacross_top_navi-menu_feature
VEZELもカローラクロスも装備内容的には、同じような小物収納があるといえます。ここで大きなポイントは、やはりカローラシリーズなので基本的な内装構造は、シリーズで統一化されてる点です。似たような小物収納スペースであると考えます。モデル毎の特長があまりないという印象となります。
VEZELとカローラクロスのパワートレイン比較
VEZELのパワートレイン

引用:https://www.honda.co.jp/VEZEL/webcatalog/performance/driving/
1.5L水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター 最高出力106psのハイブリッドモデルと1.5L水冷直列4気筒DOHC16バルブエンジン 最高出力118ps(モーター最高出力は、131ps)が採用されています。これにCVTが組み合わされ、FFと4WDが設定されています。
走行用と充電用の2モーターを採用したハイブリッドシステムが搭載されたことで、効率的なだけでなくスムーズな走行が可能です。
VEZELは、1250㎏~1400㎏の車両重量です。そして1.5Lというエンジン排気量は、自動車税などの税金負担がカローラクロスよりも少なくなるといえます。
グレード名 | 駆動方式 | 燃費 |
G | FF | 17km/l |
G | フルタイム4WD | 15.6km/l |
e:HEV X | FF | 25km/l |
e:HEV X | フルタイム4WD | 22km/l |
e:HEV Z | FF | 24.8km/l |
e:HEV Z | フルタイム4WD | 22km/l |
e:HEV PLaY | FF | 24.8km/l |
ガソリンモデルでは、FFだけではなく4WDの設定がある点がVEZELのポイントです。燃費性能的には、両モデル甲乙つけがたいと言えるでしょう。
カローラクロスのパワートレイン

引用:https://toyota.jp/corollacross/feature/?padid=from_corollacross_top_navi-menu_feature
カローラクロスのパワートレインは、1.8L直列4気筒エンジン+モーター 最高出力が98ps(モーター最大出力は、79.2ps)ハイブリッドシステムと、1.8L直列4気筒エンジン 最高出力140psが採用されています。
グレード名 | 駆動方式 | 燃費 |
G X | FF | 14.4km/l |
G | FF | 14.4km/l |
S | FF | 14.4km/l |
ハイブリッド G | FF | 26.2km/l |
Z | FF | 14.4km/l |
ハイブリッド S | FF | 26.2km/l |
ハイブリッド G | フルタイム4WD | 24.2km/l |
ハイブリッド S | フルタイム4WD | 24.2km/l |
ハイブリッド Z | FF | 26.2km/l |
ハイブリッド Z | フルタイム4WD | 24.2km/l |
カローラクロスの特長は、1.8Lエンジンを搭載している点です。やはり出力がある分、軽快な乗り心地になるといえるでしょう。
カローラクロスは、1310㎏~1510㎏の車両重量です。ハイブリッドZの4WDになると、1500㎏超えになります。税金関連は、割高になる傾向です。
※エコカー減税対象によって、両モデルとも税金関連負担は変動することを予めご了承ください。
VEZELとカローラクロスの安全装備比較

引用:https://toyota.jp/pages/contents/request/webcatalog/corollacross/corollacross_main_202111.pdf
VEZELは、全車標準装備にてHonda SENSINGが採用されています。そのことから全グレードでサポカーSワイドの予防安全となっています。
一方カローラクロスは、Gⅹグレードだけがサポカーとなり、それ以外はサポカーSワイドとなります。予防安全装備面は、ほぼ同等内容と考えます。
VEZELとカローラクロスの車両価格比較
VEZELの車両価格
グレード名 | 駆動方式 | 価格 |
G | FF | 2,279,200円 |
G | フルタイム4WD | 2,499,200円 |
e:HEV X | FF | 2,658,700円 |
e:HEV X | フルタイム4WD | 2,878,700円 |
e:HEV Z | FF | 2,898,500円 |
e:HEV Z | フルタイム4WD | 3,118,500円 |
e:HEV PLaY | FF | 3,298,900円 |
カローラクロスの車両価格
グレード名 | 駆動方式 | 価格 |
G X | FF | 1,999,000円 |
G | FF | 2,240,000円 |
S | FF | 2,400,000円 |
ハイブリッド G | FF | 2,590,000円 |
Z | FF | 2,640,000円 |
ハイブリッド S | FF | 2,750,000円 |
ハイブリッド G | フルタイム4WD | 2,799,000円 |
ハイブリッド S | フルタイム4WD | 2,959,000円 |
ハイブリッド Z | FF | 2,990,000円 |
ハイブリッド Z | フルタイム4WD | 3,199,000円 |
カローラクロスのグレードラインアップの方が、現時点で多いのが現状です。特にガソリンモデルでのラインアップが多い分、ユーザーの要望に応えやすい状況であるといえます。
車両価格もカローラクロスの方が全般的に安く設定されています。これは、カローラ兄弟として企画されたカローラクロスの方が開発費などを抑えられた結果でもあり、後発のカローラクロスがVEZELをライバルとして、車両価格設定しているからでしょう。
戦国時代に突入しているSUVの他モデル
トヨタ ヤリスクロス

引用:https://toyota.jp/yariscross/gallery/?padid=from_yariscross_feature_ft-design-1_detail#des-ext
ヤリスクロスは、2021年8月に販売開始になりました。全長×全幅×全高(㎜)= 4,180×1,765×1,590㎜のサイズで、車両価格は、1,798,000円~2,815,000円です。ガソリンモデルとハイブリッドモデル、FFと4WDがあります。
日産キックス

引用:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/kicks/gallery.html
日産キックスは、2020年6月から販売開始になっています。全長×全幅×全高(㎜)=4,290×1,760×1,610㎜で、車両価格は、2,759,900円~3,114,100円となっています。FFモデルのe-POWER搭載です。ミニマムコンパクトモデルの中では、車両価格が高い印象ではないでしょうか。
トヨタ ライズ&ダイハツ ロッキー

引用:https://toyota.jp/raize/gallery/?padid=from_raize_top_navi-menu_gallery
トヨタ ライズ&ダイハツ ロッキーは、両社の共同開発・販売モデルです。ここでは、ライズを例にとって解説します。ライズは、全長×全幅×全高(㎜)=3,995×1,695×1,620㎜で今まではガソリンターボエンジンのみがラインアップしていました。
2021年11月からハイブリッドモデルが追加されました。車両価格は、1,984,800円~2,328,000円です。ハイブリッドモデルは、FFのみの設定となっています。
最近は、VEZELやカローラクロスよりもサイズダウンしたミニマムコンパクトSUVも多く設計販売されています。いろいろなサイズのSUVがラインアップしてきたことから、国内でもSUV戦国時代が激化していると予想します。
VEZEL vs カローラクロス比較検証結果!
VEZEL | カローラクロス | |
①エクステリア部門 | 4 | 4 |
②内装部門 | 5 | 4 |
③室内空間 | 5 | 5 |
④ラゲッジスペース部門 | 4 | 4 |
⑤車内収納部門 | 4 | 4 |
⑥エンジンやユニット部門 | 4.5 | 4 |
⑦安全装備部門 | 4 | 4 |
⑧価格部門 | 4 | 5 |
40点満点中 | 34.5 | 34 |
- エクステリア部門は、ユーザーの好みがわかれるところです。そのため普遍的なカローラクロスが良いか、それともVEZELと解るデザインが良いかという事になるでしょう。
- 内装部門は、両モデルでスッキリとしたデザインであることは共通ですが、質感などはVEZELの方が良いという結果です。
- 車内空間は、筆者的(身長182㎝)にはショールームではVEZELが広く感じましたが、カローラクロスの方も狭くは感じなかったのでドロー。
- ラゲッジスペース部門は、VEZELの具体的な空間サイズが解らないのですが、ショールームではカローラクロスの方が容積は大きいと感じました。ただホイールハウスの形状は、VEZELの方が積載しやすいと感じました。ドロー。
- 車内収納部門は、ほぼ同じ小物収納能力という事で、ドロー。
- エンジン部門は、VEZELの方が排気量は少ないが、全体的な重量バランスや税制などの点で半歩VEZELがリード。
- 安全装備部門は、昨今の予防安全意識から両社現時点でできる装備が施されているという事でドロー。
- 車両価格は、明らかにカローラクロスがVEZELを意識して安く設定しているのでカローラクロスに分があります。
僅差ではありますが、VEZELに軍配が上がる結果になりました。HPなどで解りやすいラゲッジスペースの採寸記載や、上質性などがもう少し上手に伝えられたら、僅差ではなくなるのではないでしょうか。
2021年10月のカローラシリーズが7,278台の登録で、VEZELは6,831台でした。販売直後5/24時点のVEZEL受注数32000台であった点に生産体制からすると、ちょうど受けた受注が納車されたという印象です。

1974年生まれの40代です。埼玉県出身、北海道在住です。埼玉ということもあり父がホンダ車(ライフ、アコードなど)を所有していたことから、幼いころから車に触ってる光景を見ながら育ったことで、車への関心が自然に身に付きました。
私自身は、約25年の車人生にておおよそ20台乗り継ぎながら、周囲の力添えもあり車のことを勉強し続けられてます。エンジン内部の修理以外は、40代後半の現在でも全部自分で整備・修理を行っています。
510ブルーバード・S30Zなどでは、シンプルな作りであったことから車の基礎が勉強できました。今までの整備経験や未来の車社会、整備や修理についてなどを、少しでも皆様にお伝えできればと執筆活動中です。
※車両所有歴
カルタス、MR-2(AW11)、スカイライン、RX-7(SA22C)、510ブルーバード、S30Z、ローレル、カリーナ、アクティストリート、インテグラ、セルボモード、ワゴンR、シボレークルーズ、プリウス、アルテッツァ、セドリック、エルグランドディーゼル、エスクードなど。